鉄を知る
鉄は「硬い」「錆びる」など連想されますが、鉄のプロから鉄の性質や活用シーンなどをお伝えしていきます。
鉄って柔らかいんです
木造住宅は四角形にも三角形にも出来ますが、“丸”は出来ません。
そんなときには鉄の登場です!鉄は柔らかい性質を活かして、色々な形に変身する事が出来ます。
鉄は簡単に切ることも、削ることも出来ます。
木造には出来なかったことを鉄は可能にしてくれます。鉄に出来ない事はないと行っても過言ではありません。
唯一の欠点は熱を入れ過ぎると硬くなり、脆くなる性質もあることです。 そのため、あまり熱を入れずに作ることが建物にとって一番優しい工法である冷成加工(冷成と言っても触ったら熱いです)を基本としていますが、諸条件により冷成加工ができない場合には、熱成加工となり、この工法はほぼ一発勝負です。鉄の性質を知り尽くし技術力があるからこそなせる技です。
鉄にしか出来ない事
一昔前の病院関係の建物はRC(アールシー)鉄筋コンクリート、高層マンションはSRC(エスアールシー)鉄筋コンクリート(鉄+鉄筋)、最近の高層マンションはHiRC(ハイアールシー)と鉄を使わない施工も出てきました。
建物の中で“鉄”は骨組みとなる部分で使われている事が多く、建物が出来てしまうと鉄が見えなくなってしまいます。
しかし鉄は普段、何となく見ているものに使われています。
例えば、さっぽろテレビ塔などもそうです。鉄で出来た建物の歴史を振り返るとエッフェル塔まで遡ることが出来ます。
最近だと日本が誇る高層建築物の東京スカイツリー(高さ634m)も鉄で出来ています。東京スカイツリーは高層建築物としては世界第二位です。
鉄と建物の歴史は長く、私たちが生まれていない頃からのものが周りにはたくさんあります。身の回りの建物の歴史を調べてみるのも面白いかもしれません。
鉄の可能性
小さい頃から“鉄”に触れる機会がもっと増えたら子供たちの笑顔を見る事ができるのではないでしょうか。
30年以上前の公園には骨組みだけの飛行機の遊具がありましたが、今はそういった遊具を見かける機会が少なく、鉄の遊具が昔に比べると減って来たように感じます。
鉄棒、ジャングルジム、ブランコなどは見かけますが、近年公園での事故などの報道もあり、恐らく点検や管理が難しくなってきた影響もあると思います。子供達が「あの乗り物を乗りに行こう」という公園が少なくなっている気がします。
日進工業としては従業員の子供がまだ小さい事もあり、意見交換をして、身近なところで子供が遊べるようなもの遊具を作りたいと思っています。
その為には基準を始め,勉強・研究しなければいけないことも山ほどありますが、子供達が笑顔で遊べる場所を作るためにも楽しくチャレンジしていきたいです。
鉄の不思議
● 昔の鉄の使い方
昔、母親がナスの漬物を作るときに「釘を拾ってきて」と言われたことがありました。小さいながらに「なぜ漬物を作るときに釘なのかな?」と思っていましたが、実は鉄のイオンでナスの色を綺麗に出すためでした。
今は焼ミョウバンなどで代用されていることが多いみたいですので、こんな風にお漬物をつけているご家庭は少なくなってきているのかもしれません。
昔の人が考えた『生活の知恵』を大切にしていきたいですよね。
● 昭和の鉄板
大阪の食文化と言えば、お好み焼き・たこ焼きなどの鉄板で作るものが代表的です。
知り合いの80歳を過ぎたお母さんから「いつも使っていた鉄板が古くなって使い勝手が悪くなってきたので、新しい物を買ったが味が違う。業務用の鉄板も買ってきたが何かが違う」という連絡がありました。
昔から使ってもらった鉄板を見せて頂き、似たようなものを作ってあげたら、お世辞かもしれませんが非常に喜ばれたことがありました。鉄板の厚みで熱の伝わり方や保温力が変わります。
それと同時にガスと鉄板がマッチしたのかなと思います。
● カイロの仕組み
鉄が濡れたまま放置しておくと錆びます。これは鉄が酸化している現象です。
つまり鉄が空気中の酸素と反応して化学反応を起こしています。
この化学反応が起きる時に出る熱を有効利用したものが使い捨てカイロです。
日常の生活の中でも、鉄が錆びる時には熱を出しているのですが、普通はゆっくりと反応が進むので熱として感じることはありません。
カイロの中には、鉄粉、水・塩、活性炭、保水材が入っています。
カイロは空気に触れると発熱を始めるので、袋から出すまでは発熱をしません。
● 鉄と健康の深い繋がり
“鉄”は鉄分として、私たちの体にも必要不可欠なものです。特に女性と鉄分は切っても切れない関係にあります。
あまり知られていないところで、赤ちゃんのミルクにも鉄や亜鉛といったものが入っています。金属としてだけではなく、鉄は私たちが生きて行く中で様々な形で存在し、必要不可欠なものであることに間違いありません。